自社サイトのアクセス数が少ないと分かると、「まず記事を増やそう」という話になりがちです。更新欄が止まったままより、毎週何かを公開するほうが前へ進んでいるように見えるからです。
ただし、「受注が少ないから製品の種類を増やす」とだけ決めても、営業上の問題は特定できません。顧客に見つけられていないのか、比較の途中で外れているのか、そもそも相談条件が合っていないのか。原因によって、手を入れる場所は変わります。Webサイトも同じです。
この記事では、アクセスが少ない状態を、検索結果への表示、クリック、閲覧後の動きに分けます。新しい記事を書くのは、その確認で「答えのない疑問」が見つかったときです。
アクセス数は、複数の結果が重なった数字
アクセス数は便利な数字ですが、それだけでは少ない理由まで分かりません。検索結果にほとんど出ていないページと、表示はされるものの選ばれていないページは、どちらも訪問者が少なくなります。前者ではクロールやインデックス登録、記事テーマを確認し、後者では検索された言葉とタイトル・内容のずれを見ます。
製造業のBtoBサイトでは、対象となる企業や担当者が限られることもあります。自社と関係のない人を多く集めても、見積りや技術相談にはつながりません。見るべきなのは総数だけではなく、どのページが、どの検索から読まれ、次に何が起きたかです。
アクセスを認知から相談後までの流れで捉える考え方は「Web集客の5ステップ」でも整理しています。本記事では、そのうち検索から記事を読むまでの詰まり方に絞ります。
Search Consoleの四つの数字で、止まっている場所を分ける
Googleの検索パフォーマンス レポートには、クリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位が表示されます。表示回数は検索結果にサイトが表示された回数、CTRはクリック数を表示回数で割った値です。
四つの数字をサイト全体で眺めるだけではなく、ページと検索クエリに分けて見ます。平均掲載順位は、検索内容や端末などによって変わる表示位置をまとめた参考値です。「自社は常に何位」とは捉えず、同じページ・同じ期間での変化を確認します。

| 見えている状態 | 最初に見るもの | 考えられる状態 | 先に行う確認 |
|---|---|---|---|
| 検索結果にほとんど出ない | 表示回数、URLの登録状況 | ページを見つけられていない、題材が検索と結び付いていない | URL検査、サイトマップ、内部リンク、記事の対象 |
| 表示されるがクリックが少ない | 検索クエリ、CTR、タイトル | 検索された疑問と題名・説明が合っていない | 検索クエリごとに題名と冒頭を読み直す |
| クリックはあるが次へ進まない | 閲覧後の移動、営業への反応 | 疑問への答えが不足している、次の案内が合わない | 本文の答え、関連記事、資料、問い合わせ条件 |
| 問い合わせはあるが内容が合わない | 相談内容、営業担当の記録 | 対応範囲や必要条件が伝わっていない | 受けたい相談、対応外条件、必要資料の明記 |
この表の「考えられる状態」は診断結果ではありません。次に調べる場所を絞るための仮説です。数字が小さいサイトでは一件の動きで割合が大きく変わるため、日ごとの上下より、同じ期間・同じ条件でページ別の変化を見ます。
表示回数が少ないなら、記事数より発見・登録・テーマを確認する
公開したページが検索結果へ出ていない場合、最初にURL検査で登録状況を確認します。サイトマップにURLが含まれているか、公開済みの関連ページから内部リンクがあるか、誤って検索対象外にしていないかも確認します。
Googleは、クロールやインデックス登録を依頼しても、検索結果への表示は保証されないと説明しています。同じURLを短期間に繰り返し送るのではなく、ページがサイト内で孤立していないか、読者が探す疑問に答えているかを確認します。詳しくはGoogle検索セントラルの「クロール・インデックス登録リクエスト」で確認できます。
登録済みでも表示回数が少ない場合は、テーマが狭いだけかもしれません。狭いテーマ自体は問題ではありません。「SUS304の薄板加工」のように条件を絞った説明を必要とする人が少なくても、自社が対応したい相談に近ければ残す理由があります。反対に、自社の業務と離れた広いテーマで表示回数だけを増やしても、営業が対応できない相談を呼び込みます。
ただし、狭ければ何でも残すわけではありません。検索数0の題材を、書くか保留するかの判断基準で、受けたい仕事との近さと根拠を確認します。
表示されるのにクリックされないなら、タイトルと答えを合わせる
表示回数があるページは、すでに検索結果へ出る機会を得ています。この段階で新記事を追加すると、同じ疑問に似たページを増やし、どれを読めばよいか分かりにくくする場合があります。先に、検索クエリと現在のページを照合します。
説明用の例として、「薄板加工 反り 対策」で表示されているページの題名が「当社の加工技術」だけだったとします。これでは、検索した人が自分の疑問に答えるページか判断できません。本文で薄板加工を詳しく説明しているなら、題名と冒頭に対象条件を出します。本文に答えがないなら、題名だけを検索語へ寄せず、説明そのものを補います。
Googleのパフォーマンス レポートの利用例でも、CTRが低いページでは、タイトルや説明が内容を表しているか、表示された検索内容とページが合っているかを確認するよう案内しています。クリックを誘う強い言葉を足すのではなく、読者がページ内で確認できる範囲を正確に書きます。
クリック後の動きが弱いなら、本文と出口を確認する
Search Consoleで分かるのは、主に検索結果で表示され、クリックされたところまでです。その先は、アクセス解析で関連記事や資料への移動を確認するほか、問い合わせ内容や営業担当者の記録も合わせて見ます。
製造業の記事を読んだ人が、すぐに問い合わせるとは限りません。社内の技術者へ共有する、仕様書を確認する、候補会社を比較する、といった動きもあります。そこで記事の最後を一律の「お問い合わせはこちら」だけにせず、検討段階に合う行き先を用意します。
加工条件を調べている人には関連する技術記事、発注条件を整理している人には確認表や資料、具体的な案件がある人には問い合わせ方法を示します。すべての読者を同じボタンへ送る必要はありません。記事の入口と出口を対応させる方法は「集客サイトの入口と出口」で詳しく説明しています。
問い合わせの内容が自社の対応範囲とずれている場合も、単純なアクセス不足ではありません。本文に対応可能な条件だけを書き、個別確認が必要な範囲や受けにくい依頼を伏せていると、営業側の選別作業が増えます。アクセスを増やす前に、相談の入口を整えるほうが先です。
新しい記事を足すのは、説明不足が見つかったとき
新記事が必要になるのは、次のような材料が確認できたときです。
- 営業担当者が同じ質問へ何度も説明しているが、渡せるページがない
- Search Consoleに自社と関係のある検索クエリが出ているが、既存ページは疑問の一部しか答えていない
- 一つの記事に異なる読者や目的が混ざり、題名と結論を一つに決められない
- 関連記事や資料へ案内したいが、その間をつなぐ説明ページがない
一方、「しばらく更新していない」「競合が毎週公開している」という理由だけでは、題材を選ぶ根拠として足りません。Googleは、検索流入を主な目的として多くのトピックを扱うことや、サイトを新しく見せるためだけに大量のコンテンツを追加する考え方へ注意を促しています。詳しい判断基準は「ユーザーを第一に考えたコンテンツ」で確認できます。
記事を追加すると決めたら、候補を一度に作らず、営業の質問、公開できる根拠資料、読後の行き先がそろうものから始めます。「記事テーマの見つけ方・優先する3本」のように候補を比較すると、記事本数が目的になるのを防げます。
変更後は、日付、対象URL、直した理由、確認する指標を一行で残します。タイトル、本文、内部リンクを同じ日に大きく変えると、どの修正が読者の動きに影響したのか追いにくくなります。一度に直す範囲を決め、修正前後を同じ長さの期間で比べます。
まとめ|アクセス数より先に、止まっている場所を見つける
アクセス数が少ないとき、新しい記事は選択肢の一つです。ただし、検索結果に出ていないページ、表示されても選ばれないページ、読後の行き先がないページでは、必要な修正が違います。
最初にSearch Consoleで一つのページを選び、どの検索クエリで表示され、クリックされているかを確認します。その後、アクセス解析と営業の記録を重ね、読後の移動や相談内容を見ます。答えのない疑問が見つかったときに、既存ページへ追記するか、新しい記事へ分けるかを決めます。
記事を続けるか迷っている場合は「コンテンツマーケティングの効果・限界」も判断材料になります。
アクセス数だけを見ても、修正するページまでは決めにくいものです。工房もののほんでは、Search Consoleの検索クエリ、営業で繰り返す質問、既存資料を突き合わせ、既存ページを直すのか、新しい記事へ分けるのかを整理します。サービス資料では対応範囲を確認できます。対象ページが決まっている場合は、お問い合わせページからURLと困っている点をお知らせください。
