検索ボリュームが「0」でも、書くべき記事はある|製造業はPVより「相談の具体性」で選ぶ

検索数が0でも、PVより相談を具体化できるかで記事を選ぶ考え方

記事候補をキーワード調査ツールへ入れ、検索ボリュームの欄に「0」と表示された。その瞬間に候補の行を削除する。数値で決められるため、会議は早く終わります。

ただし、その「0」は、営業が同じ説明をした回数を数えていません。製造業の相談は、材質、寸法、数量、工程、納期などが重なって具体的になります。同じ悩みでも、検索するときの言葉は人によって分かれます。

以前の記事「機械設計事務所のHPで書くべき記事のテーマの見つけ方」では、「検索ボリュームが少なくても必要な記事を書く」と書きました。今回は一歩進めて、調査ツールで0または十分なデータなしと表示された題材を、書くか保留するかの判断方法に絞ります。

小さいキーワードなら何でも狙う、という話ではありません。0は、書く理由にも、捨てる理由にもならない。これが出発点です。

検索ボリュームが0でも記事を書くか判断する4つの確認項目
目次

「0」は、検索する人がいないという判定ではない

Google広告のキーワードプランナーで表示される月間検索数は、選択した期間、地域、検索ネットワークなどに基づく平均値です。将来の問い合わせ人数や、困っている企業の一覧ではありません。Googleも、この数値をキーワードの人気を把握するための過去指標として説明しています(Google広告ヘルプ)。

とくに、案件ごとに条件が違うBtoB製造業では、相談内容がそのまま一つの検索語になるとは限りません。「図面が完成していない」「支給材を使いたい」「標準の検査以外も頼みたい」といった事情が、別々の言葉で検索されます。

したがって、ツール上の0は「規模が小さく、検索需要を数値でつかみにくい候補」として扱います。無視はしませんが、そこで採否を確定もしません。次に、社内に残っている質問や見積り前のやり取りを見ます。

PVより「読んだ後の質問が具体的になるか」を見る

広い言葉で訪問者を集めても、自社が受けていない仕事の問い合わせばかりなら、営業には残りません。一方、閲覧数の小さい記事でも、読者が条件を整理して相談できるなら役割があります。

例えば、読む前の質問が「図面がなくても頼めますか」だけだったとします。記事を読んだ後に「用途、概略寸法、数量、希望時期までは整理しました。正式図面の前でも相談できますか」と変わるなら、話を一段進めています。問い合わせ件数が同じでも、確認に必要な往復は減ります。

ここで見る「相談の具体性」とは、専門用語の多さではありません。相手が、自社の状況と未確定事項を分けて伝えられることです。

誰のどの判断を助けるかが決まっていない場合は、先に「「何を書けばよいか」より先に、誰の判断を助けるかを決める」で読者を絞ります。検索数の検討は、その後です。

書くか保留するかは、四つの痕跡で決める

ツールの数値の代わりに、次の四つを確認します。点数を機械的に合計する表ではありません。「仕事との近さ」と「示せる根拠」が欠ける場合は、ほかの項目がそろっていても保留します。

確認する痕跡書く側へ傾く状態保留する側へ傾く状態
実際の質問営業、見積り、問い合わせで同じ趣旨を聞かれている会議で思いついただけで、質問された記録がない
受けたい仕事との近さ自社が今後も受けたい案件の判断に関わる対応していない仕事や、増やしたくない案件に寄る
条件を含む答え材質、寸法、数量、工程などで答えが変わる一般用語の説明だけで終わる
自社で示せる根拠設備、手順、確認項目、公開可能な経験で説明できる他社記事の要約しか材料がない、または機密情報なしでは書けない

実際の質問は、検索数が小さい題材を残す有力な根拠です。ただし、同じ質問が一度しか出ていなくても、受けたい仕事に近く、ほかの顧客も同じ場所で止まりそうなら候補に残せます。回数を作ったり、「よく聞かれる」と誇張したりする必要はありません。

営業で受けた質問を記事へ変える方法は「営業が毎回同じ説明をしているなら、その話は記事にできる」で詳しく整理しています。

同じ「0」でも、書く例と書かない例がある

書く例:回答条件を先に渡せる

仮に「正式図面の前でも概算相談できるか」という質問があり、自社も構想段階の相談を受けたいとします。記事では、最初に必要な情報、正式回答までに決める項目、現段階では約束できない範囲を書けます。

この題材は、検索数が小さくても、受けたい相談と近く、読後の質問を具体化できます。記事にする理由があります。

ただし、実際には正式図面がなければ受け付けていない会社が、集客のためだけに同じ記事を書くのは逆効果です。検索語ではなく、自社の受付方法が先にあります。

保留する例:社内用語か、説明材料がない

設備の社内呼称や、自社だけで使っている工程名は、顧客がその言葉を知らなければ検索の入口になりません。顧客が使う言葉へ置き換えられない間は保留します。

また、受けたい案件に近くても、答えが「お問い合わせください」の一文しかないなら、独立した記事にする必要はありません。既存のサービスページやFAQへ、相談に必要な情報を一段落追加する方が役に立ちます。

検索ボリュームが小さいから競合が弱い、上位表示しやすい、とも限りません。検索意図が別にある場合や、十分な答えを出せない場合は、小さい言葉を選んでも記事の価値は生まれません。

公開後はPVだけで成否を決めない

低頻度の題材は、公開直後のPVだけで判定すると、ほとんどが失敗に見えます。公開日と記事の目的を記録し、次の三方向から確認します。

  • Search Consoleで、どんな検索語に表示され、クリックされたか
  • 営業担当者が説明の代わりに記事を渡せたか
  • 読後の問い合わせに、材質、寸法、数量など必要な条件が増えたか

検索結果に表示されない場合は、すぐ削除するのではなく、題名が顧客の言葉になっているか、関連ページからたどれるかを見直します。営業でも使われず、問い合わせの変化もない状態が続くなら、既存ページへの統合や題材の保留を検討します。

公開後の表示回数やクリックの見方は「製造業サイトのアクセス数が少ないとき、記事を増やす前に確認すること」で確認できます。

まとめ|0の隣に、判断理由を残す

検索ボリュームの欄に0と表示されても、その行をすぐ削除する必要はありません。反対に、「ニッチだから穴場だ」と残すのも早計です。

実際に出た質問か。受けたい仕事に近いか。条件を含む答えを書けるか。自社で示せる根拠があるか。この四つを見て、書くか保留するかを決めます。

候補表には検索数だけでなく、「誰から出た質問か」「読後にどの相談を具体化したいか」を一行添えてください。その一行が書けない題材は、まだ記事にする段階ではありません。

検索数が小さい候補ばかりで判断に迷う場合は、検索語の一覧と、実際にその質問が出た場面を記したメモを添えて、記事候補の選定をご相談ください

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