その製品名で顧客は検索する?|社内用語と顧客の言葉をつなぐ書き方

顧客の言葉を入口にする製造業の製品ページ改善記事のアイキャッチ

製品一覧ページのURLを送った後で、「どの製品を見ればよいですか」と聞き返される。サイトにはシリーズ名がきちんと並んでいるのに、初めて見る人には、自分が探している製品との関係が分からない。製造業のホームページでは、こうした行き違いが起こります。

正式な製品名や型式が悪いわけではありません。見積り、仕様確認、図面との照合には欠かせない情報です。ただ、その名称を知る前の人は、用途、部品の形、材質、現在の困りごとなど、別の言葉から探し始めることがあります。

この記事では、社内用語を分かりやすい表現へ一律に置き換える方法は扱いません。問い合わせや営業記録で実際に使われた言葉を拾い、正式名称の隣へどう置くかを考えます。最初に直すのは、既存の製品・サービスページ一つだけです。

顧客が使った言葉を正式名称と社内呼称へつなぎ、掲載場所を決める図
目次

正式名称だけでは、探し始めの言葉とつながらない

同じ担当者でも、検討段階によって使う言葉は変わります。候補を探し始めた時点では「アルミの薄い部品を少量で試作したい」と表現し、加工方法を調べるうちに「薄肉加工」や設備名を知り、候補先を絞った後で製品名やサービス名を使う。必ずこの順番になるわけではありませんが、最初から自社の呼び方を知っている人ばかりではありません。

一方、ページを作る側は、製品分類や部門名をすでに知っています。カタログの目次をそのままサイトへ移すと、「HSシリーズ」「特殊加工A」「開発支援サービス」といった社内では迷わない名前がページの入口になります。説明が正確でも、その名前を知らない人には対象を判別しにくい状態です。

ここで正式名称を消す必要はありません。ページを見つける前に使う言葉と、見つけた後の照合に使う名称の両方を置きます。専門用語を残すか、補足するかを判断する記事では、原稿内の用語をどう処理するかを整理しました。本記事で見るのは、その一段手前にある「何という言葉から、このページへ入ってもらうか」です。

顧客の言葉は、想像せず手元の記録から拾う

「顧客なら何と検索するだろう」と会議室で考えると、自社側の言葉を少しやさしくしただけになりがちです。先に、直近の問い合わせ本文、営業メール、電話や商談のメモを見ます。記録が少なければ一件からでも構いません。複数あるなら、三件ほど並べて、同じ対象がどう呼ばれているかを比べます。

拾いたいのは、社内で製品名へ置き換えた後の記録ではなく、相談者が最初に書いた一文です。「何を作りたいか」「どこで困っているか」「どの段階で相談しているか」が残っていれば、その表現を社内の正式名称と対にします。営業担当者の記憶から出た言葉は候補として残し、顧客が実際に使った言葉とは分けておきます。

紹介メールも材料になります。ただし、そこに書かれた推薦理由や相談手順まで本記事で広げると、製品名の話から離れます。紹介時に補われていた説明をホームページへ引き継ぐ方法で拾った言葉のうち、製品、用途、困りごとの呼び方だけをここでは使います。

問い合わせ文を公開原稿へそのまま貼るわけではありません。顧客名、図番、固有の用途、数量、時期などを外し、組み合わせから案件を推測できないかも確認します。一件だけで使われた表現なら、「顧客は皆こう呼ぶ」とは扱えません。その会社で実際に観測できた入口の言葉として記録します。

三つの言葉を、対応表の一行に並べる

記録から言葉を拾ったら、すぐページへ足さず、次のような対応表を作ります。以下は架空例です。

社内での呼び方正式な製品・サービス名顧客が使った言葉言葉の出所掲載場所
HS薄肉形状向け試作加工 HSシリーズアルミの薄い部品を少量で試作したい問い合わせ本文(架空)ページタイトル・冒頭

この一行で確かめたいのは、三つの言葉が同じ対象を指しているかです。「HS」が社内の案件区分にすぎず、公開中の正式名称ではないかもしれません。「薄い部品」は板金部品も切削部品も含む可能性があります。顧客の困りごとが、複数の製品や加工方法にまたがることもあります。

対応先を一つに決められない言葉は、無理に製品名と結び付けません。複数の方法を比較する記事や、条件を聞いてから案内する相談ページの入口にできます。技術担当者には「この表現で来た相談を、どのページへ案内できるか」と尋ねます。「この二つは同義ですか」と聞くより、実際の受付に近い答えを得やすくなります。

「言葉の出所」も残します。問い合わせ原文、紹介メール、商談メモ、営業担当者の仮説では、確かさが違うからです。次の記録でも同じ表現が出てきたら、行を増やすのではなく、出所と件数を追記します。似た呼び方ごとに内容の薄いページを量産しないための歯止めにもなります。

一つのページに、入口と正式名称の両方を置く

対応関係を確認できたら、同じページの中で言葉を置き分けます。

  • ページタイトル・H1には、用途や対象と、正式な製品・サービス名を置く
  • 冒頭では、どの部品、工程、案件段階の相談に関係するかを書く
  • 見出しには、材質、形状、数量、精度、検査など、実際に判断が変わる条件を使う
  • 仕様欄には、正式名称、型式、規格、確認済みの仕様を正確に載せる

ページのすべてを同じ言葉へそろえる必要はありません。入口では顧客が対象を判別できる表現を使い、詳しく読むほど正式名称と条件へ近づく構成にします。一つの言葉を見出しや本文へ何度も押し込むのではなく、それぞれの場所に役割を持たせます。

営業記録から「薄い部品」「薄肉」「少量」「試作」「変形」などの候補が見つかっても、タイトルへ全部並べるわけではありません。タイトルにはページの対象が分かる代表的な表現と正式名称を置き、残りは冒頭や見出しで必要な箇所に使います。Googleも、検索結果に使われるタイトルについて、具体的で分かりやすい文言を勧め、不必要に長い文言や同じ語句の繰り返しを避けるよう案内しています(Google検索セントラル「タイトルリンク」)。

先ほどの架空例を使うと、修正前のページは次のようなものでした。

修正前

HSシリーズ
複雑形状に対応する高精度な加工サービスです。

シリーズ名を知らない人には対象が見えず、「高精度」がどの条件を指すのかも分かりません。問い合わせの言葉と、社内で確認できた受付条件を使って書き直します。

修正後

薄肉アルミ部品の少量試作|薄肉形状向け試作加工 HSシリーズ
薄肉形状向け試作加工 HSシリーズ(架空)は、アルミの薄肉部品について、図面をもとに加工可否を確認する試作加工サービスです。材質、概略寸法、希望数量、要求精度を確認した後に回答します。

修正後の文でも、「変形しない加工」とは約束していません。ページでは相談対象と確認事項を示し、個別条件の判断は図面確認後に残しています。実際の原稿では、自社が受けている案件段階と確認項目に置き換え、営業と技術の双方で確かめます。

正式名称の隣へ置く説明が「高精度」「難加工にも対応」といった評価語にとどまる場合は、技術力を「対応条件」で伝える方法を使い、材質、形状、数量、確認方法へ分けます。

まず一ページで、呼ばれ方を照合する

最初に選ぶのは、タイトルが型式やシリーズ名だけになっており、その製品に関係する問い合わせの言葉が残っているページです。サイト全体の名称を一度に変える必要はありません。

選んだページと、直近の問い合わせ一件を並べます。顧客が使った言葉のうち、ページにないものへ印を付けてください。反対に、ページのタイトルと冒頭にある言葉のうち、社外の人が呼ばない社内名や略称にも印を付けます。その二つを、先ほどの対応表で結びます。

書き換えた後は、顧客の呼び方と正式名称が同じ対象を指しているか、タイトルで対応範囲を広げすぎていないか、問い合わせ文の固有情報が残っていないかを確認します。

公開後は、想定した言葉と実際の入口を分けて見る

修正日、変更前後のタイトル、参考にした問い合わせ記録を残しておくと、後から検証できます。Search Consoleを使える場合は、対象ページを指定して、どのような検索クエリで表示されたかを見ます。ただし、顧客の問い合わせで使われた言葉と、検索結果で使われた言葉は別の欄へ記録します。問い合わせに出た一文を、検索語だったことにしてはいけません。

Search Consoleのクエリ表にも、すべての検索語句が載るわけではありません。Googleの説明では、プライバシー保護のため匿名化されたクエリや、内部的な制限により表へ表示されない行があります(Search Consoleヘルプ「クエリの詳細と制限事項」)。候補にした言葉が見当たらない、という理由だけで「誰も使っていない」とは判断できません。

新しい言葉で表示されても、今回の修正だけが原因とは断定できません。対象ページの表示とクリックを確認し、表示されたのに選ばれていない場合は、タイトルから製品との関係を判別できるかを見直します。候補語が現れない場合も、すぐに類語を追加せず、ページが検索対象になっているか、関連ページからたどれるか、加えた言葉が本文の内容を正確に表しているかを確かめます。サイト全体のアクセスが少ない場合の切り分けは、記事を増やす前に検索表示とクリックを確認する方法で整理しています。

まとめ|顧客の言葉を入口にし、正式名称へつなぐ

正式な製品名、型式、専門語は、比較や照合に必要です。消すのではなく、その名称をまだ知らない人が使った言葉を入口へ足します。問い合わせの一文から製品、用途、困りごとの表現を拾い、同じ対象を指すか確認してから、ページタイトルと冒頭へ置きます。

最初の作業は、大がかりなキーワード調査ではありません。直近一件の問い合わせと、営業がよく案内する一ページを並べ、「社内での呼び方/正式な製品・サービス名/顧客が使った言葉/出所/掲載場所」の一行を埋めることです。そこで一つの製品に結び付かない言葉があれば、比較記事や相談ページを入口にするか検討します。

問い合わせで使われた言葉を製品ページへ反映する作業を外部へ依頼する場合は、資料確認・取材・原稿作成・入稿の対応範囲をサービス資料で確認できます

  • URLをコピーしました!
目次